2024明治安田J1リーグ第13節

2024明治安田J1リーグ

2024.5.11

セレッソ大阪

レオ セアラ (57')

1

HOME

FULL TIME

4

0-2

1-2

ヴィッセル神戸

山口 蛍 (38')

本多 勇喜 (44')

大迫 勇也 (49')

宮代 大聖 (90+3')

ヨドコウ桜スタジアム

21,148

ヤンマー #Football is our engine サポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

攻守に狙いを表現する時間も長かったが、今季最多の4失点。昨季の王者に完敗を喫する

悔しさを噛みしめた前節の大阪ダービーから中4日。セレッソ大阪はホームに戻り、昨季の王者・ヴィッセル神戸との明治安田J1リーグ第13節に挑んだ。先発は前節から2人変更。前節負傷交代した毎熊晟矢と登里享平が欠場し、J1先発デビューとなった奥田勇斗とジャスティン ハブナーが入った。ここまでCBでプレーしてきた舩木翔は今季初めて左SBでスタートした。

立ち上がりは互いに長いボールが飛び交う落ち着かない展開に。その中でも、セレッソも神戸のロングボールや対角のキックに対応。ラインを押し上げ、コンパクトな陣形を保つ。すると15分を過ぎたあたりから、セレッソが下からつないでフィニッシュまで持ち込み始める。16分、右サイドから中に入ってきたルーカス フェルナンデスが巧みな浮き球のパスを前線に送ると、クリアボールを拾った香川真司が、この試合最初のシュートを放つ。17分にもビッグチャンス。奥田勇斗を起点に右サイドを崩すと、最後は再びフェルナンデスのスルーパスからレオ セアラがシュート。崩した形だったが、GK正面に飛んだ。直後のCKから田中駿汰がヘディングで狙うと、19分にも惜しいチャンス。再び奥田が起点となり、逆サイドの為田大貴へ展開。そこから中央、右とテンポ良くつないで相手をはがし、最後は香川の落としを受けた奥田が左足でシュート。際どいコースへ飛んだが、惜しくも枠を外れた。「J1初先発としては100点」と試合後に小菊昭雄監督も評価したが、奥田のプレーぶりは今節の収穫となった。

以降は神戸にボールを持たれる時間もあったが、シュートを許さず守ると、35分にもテンポ良く右サイドでつないで最後は田中がシュート。メンバーが変わった中でも攻守に狙い通り試合を進めていたが、38分、神戸に許した最初のシュートが失点につながってしまう。しかも相手陣内深くまで攻めたところで始まった神戸のスローインが起点となっただけに、悔やまれる失点となった。ルーズボールの争いで2度3度、競り負けてボールを運ばれると、大迫勇也のパスから抜け出した武藤嘉紀に起点を作られ、最後はDFが引き寄せられて空けたスペースに走り込んだ山口蛍に強烈なシュートを叩き込まれた。一気に畳み掛けてきた神戸に対し、セレッソは44分にも2失点目。神戸のFKに対し、風の影響も受けて伸びたボールをGKキム ジンヒョンが触れずにいると、ファーで折り返され、中でヘディングを決められた。

後半開始から、小菊監督は為田と香川に代えて、ジョルディ クルークスと柴山昌也を投入。フェルナンデスを左ウイングへ配置変更した。ここから反撃に出たいセレッソだったが、49分、CKから大迫に決められ3失点目。試合の行方を考えると重い失点を喫したが、57分に1点を返す。分厚い攻撃の中から、前線に飛び出した奥埜博亮が相手DFのクリアをブロック。こぼれ球に反応したフェルナンデスが折り返し、中でセアラが詰めた。背番号9の今季10点目で意気上がるセレッソは、ここから怒とうの攻撃を展開。右サイドはクルークス、柴山、奥田。左サイドはフェルナンデス、奥埜、舩木と厚みを持って相手陣内へ入っていくと、66分、フェルナンデスがカットインから逆サイドへ展開。柴山、クルークスとつないで鋭いクロスを入れたが、中で合わせることはできなかった。73分には、武藤に裏に抜け出され被決定機も、ここは舩木が懸命に戻ってシュートを阻止。75分、小菊監督は奥埜とハブナーに代えて山田寛人と清武弘嗣を投入。システムを4-4-2に変えて、清武と柴山をダブルボランチに置く攻撃的な布陣で得点を奪いにいく。ただし、攻めに転じる姿勢の背後を神戸に突かれ、ここから再三ピンチを招く。セレッソも86分、清武のクロスに山田がフリーで合わせたが、枠に飛ばず。オープンな展開の終盤、スコアを動かしたのは神戸だった。90+3分、途中出場の宮代大聖に4点目を決められ万事休す。攻めている時間は長かったセレッソだが、神戸に効率よく得点を重ねられ、終わってみれば今季最多の4失点で完敗。未勝利も5試合に伸びてしまった。

「内容的には決して悪いゲームではなかったと思うのですが、私たちはプロの世界で生きている人間ですので、結果を受け止めないといけません」と小菊監督。「良い立ち上がりで決め切れない。自分たちの時間帯で失点する。この課題に対して向き合っていきたい」とも話した。この5戦未勝利の間、主導権を握れている時間は多く作れているだけに、結果につながらないもどかしさは残るが、中3日で迎える次節こそ、「良い時間帯で決める、しっかりゴールを守る。その際(きわ)のところをしっかりやって」(小菊監督)6試合ぶりの勝点3を掴みたい。

監督コメント

■小菊 昭雄監督

「スコアが示す通りの完敗です。内容的には決して悪いゲームではなかったと思うのですが、私たちはプロの世界で生きている人間ですので、結果を受け止めないといけません。非常に良い試合の立ち上がりで、30分過ぎまで進めることができました。ただ、その中で決め切れない。自分たちの時間帯でミスから、またはリスタートから失点する。ここ数試合の課題を抱えたまま、今日の試合も負けてしまった印象を受けています。しっかりとこの課題に対して向き合っていきたいですし、良い時間帯で決める、しっかりとゴールを守る。その際(きわ)のところをしっかりやっていかないと、ゲームコントロールで自分たちを見失ってしまう。その課題が続いてしまいます。しっかりできたところは継続して、課題は全員で見直していきたいです。先ほど選手たちとも話したのですが、改めて、これから私のサッカーに100%向き合ってくれる選手、ギラギラしている選手と共に戦いたいと思いますので、また明日から競争が生まれると思います」

Q:この試合でも主導権を持った入りができて、守備でも相手のロングボールに対応していました。そうした中で、先制点がやはり大きくのしかかりました。敵陣深くのスローインから運ばれて、という流れでした。今季のスタイルを目指す以上、(ハイラインの裏は)仕方がない部分もあるのか、選手個々の判断やポジショニングのミスなのか、そのあたりの受け止め方について
「チームとしての課題だと思っています。もちろん、個人戦術のところ、集中力の問題もありますが、簡単に失点してしまうことが続いています。ここ数試合、我々の守備陣が完全に崩された、というシーンはほとんどないのですが、簡単に先に失点してしまうと、バランスが崩れてしまう。自分たちのゲームコントロールが利かなくなってしまう。そのあたりは、強いチーム、強かなチームにしていかないといけません。今日、改めて神戸と試合をして、昨年と同様、彼らのゲームをコントロールする力、メンタリティ、クオリティを感じました。そこは私たちも身に付けていかないといけないと思います」

Q:J1リーグ戦初先発を果たした奥田勇斗選手、ジャスティン ハブナー選手について
「奥田に関しては、作りからファイナルゾーン(への進入)まで、守備のところも含めて、初先発としては素晴らしい、100点満点のパフォーマンスを披露したと思います。経験を積むことでますますパフォーマンスは上がると思いますし、どんどん成長していくと思うので、これからも期待したいです。ジャスティン(ハブナー)に関しては、彼の持ち味が全て発揮できたかと言えば、100%ではなかったかとは思うのですが、彼もまだまだ若い選手です。スピード、タフさ強さを兼ね備えている選手ですので、今日の課題と向き合って、私たちも彼の成長の手助けをしていきたいと思います」

Q:DFラインの選手が入れ替わった中での試合だったが、どういう指示を出されていた?
「神戸のスタイルを考えた時に、今日のテーマは、常にコンパクトに出どころにいく、チャレンジ&カバーの特にチャレンジのところですね。いかに1対1のところ、相手の大迫選手や武藤選手に入れてくるロングボールに対して、または足元に入るキーパスに対して厳しく行けるか。そして行った後のカバー、プレスバック、そこをチーム全員で全うできるか。それがカギになると思っていました。失点シーンまでは組織的に素晴らしいパフォーマンスを発揮できていました。1失点目が悔いの残る失点になってしまいました。ただ、チームとしては、時間が短い中でも一人一人が役割を理解して入ってくれたと思います。失点の場面は、またチーム全員で共有していきたいと思います」

Q:試合途中からシステムを4-4-2に変えたが、その狙いについて
「今日の交代選手の特長を考えた時、2トップにしてレオの近くにもう一人、走れる選手、起点になれる選手を投入しようと、山田とジョー(上門)を入れて4-4-2にトライしました。昨年から4-4-2はいつでも立ち返れるシステムですので、これからも4-3-3をベースにしながら、チームの状況、選手のキャラクターを見て4-4-2も使い分けていきたいと思います」

選手コメント

■レオ セアラ選手

Q:昨年のチャンピオンと対戦して1-4。この結果をどう受け止めていますか?
「あまり言えることはありませんが、下を向いている暇はありません。自分たちの何が問題かを見直して、次の試合まで時間は短いので、また良い準備をして改善して、勝利したいです」

Q:自身としては今季10点目を挙げたが、やはり勝たないと意味がない?
「そうですね。得点を決めても勝利しないと意味がありません。得点しなくても勝利できることが一番良いです。次の試合まで時間は短いので、チームとしていま足りないことをしっかり見直して、次の試合に向かいたいです」

■香川 真司選手

Q:前半は良い形で攻撃にも移れていたが、こちらは決め切れず、相手は最初のチャンスを生かした。そのあたりの決定力も課題になった?
「入りは悪くなかったですが、相手が効率良く点を取ったという印象です。1失点、2失点は想定内ではあったのですが、2失点目のセットプレーが痛かったと思います」

Q:5戦勝ちなしと苦しい状況ですが、(前節時点で)首位だったFC町田ゼルビアともまだ勝点6の差です。次節はその町田と対戦します。中3日と時間は短いですが、どう立て直して臨みたい?
「首位(云々)の話をする必要はないですが、もう一回、自分たちのやることをハッキリして臨みたい。攻守で勝つために何をしないといけないのか。そのディテールは時間がない中でも見返す必要はあると思います」

■ジャスティン ハブナー選手

Q:J1リーグ戦初先発でしたが、プレーを振り返ると?
「どの試合も足りない部分はありますが、今日はその部分が自分の中で明確になったので、そこを修正しつつですが、デビュー戦としては悪くなかったと思います。ただ、4失点もしていますし、それ以外にもチャンスは作られたので、やらないといけないことは多いと感じています」

Q:U-23インドネシア代表の活動から、気持ちの切り替えはできましたか?
「切り替えは問題なかったです。U-23インドネシア代表としてたくさん試合もしましたし、移動距離も長かったですが、プロとして、切り替えは問題なくできました」

Q:U-23インドネシア代表がプレーオフに回った中で、今日の試合を優先する形になり、気持ちも入っていたと思うが?
「そうですね。プレーオフがある中でこちらに戻ってきて、スタメンを掴んだことは嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、自分の(先発)デビューが1-4で終わったことは、満足していません。ここからどんどん試合に絡んで、勝つ試合を増やしていきたいです」

Q:ヴィッセル神戸は昨年のチャンピオンだが、戦った感想は?
「強いチームだとは思いましたが、0-1になるまではセレッソが支配していたとも思います。ただ、失点してからは、相手も勢い良く攻めてきて、流れを失いました。残念な結果になってしまった、という気持ちでいっぱいです」

■奥田 勇斗選手

Q:J1初先発となったが、やれたところ、課題などを振り返ると?
「攻撃の部分では、前半からしっかりと自分の特長は出せたと思います。あとはそれを得点につなげる質を高めたいです。課題としては、守備の部分で、セットプレーから失点したシーンがあったので、そこは試合を見返しながら、スタッフとも話して対応したいと思います」

Q:緊張などはありましたか?
「自分はあまり緊張するタイプではないので、いつも通りのプレーをして、貪欲にプレーしようと思って入りました」

Q:前半は相手のジェアン パトリッキ選手もしっかり抑えていたが?
「自分は一緒にやっていないのですが、セレッソに所属していた選手なので、スタッフや(セレッソの)選手からも、『足が速い』とは聞いていたのですが、練習からカピ(カピシャーバ)とも対峙しているので。そのあたりと照らし合わせながら、しっかり間合いも図りながら守れました」

Q:攻撃では、アンダーラップなども用いてうまく関与していたが?
「(自分は)毎熊選手のようにロングスプリントで駆け抜ける力はないですが、崩しながら徐々に前進していくタイプなので、攻撃に関しては、いつも通りのプレーができたと思います」

Q:左足のシュートは惜しかったが?
「あそこまで行けたことは良かったですが、そこを決め切れる質を上げることが課題です」

Q:前半は神戸の選手もやり辛そうにしていたが?
「プレーしながら、自分も(舩木)翔くんを見ながらどちらが中に入るとか、(香川)真司さんとも目を合わせながらプレーできていたので、相手も掴み辛そうにしている感じは受けました。攻撃で主導権を握ることは出来ていたと思います。前半はシュート数でも自分たちが上回っていたのですが、決定力は相手が上だったと思います」

Q:小菊監督は「J1の先発デビューとしては、100点満点」だと仰っていました。負けた悔しさが上回ると思いますが、今後に生かせる試合になりましたか?
「そうですね。ただ、攻撃に関しても、もっと毎熊選手のように力強いスプリントも出せた方がいいので、走力は課題ですし、サイドバックは守備が基本なので、その意識は履き違えずに取り組んでいけたらと思います」

■舩木 翔選手

Q:DFラインのメンバーが変わった中での試合だったが、事前の準備も含めてどう今節に臨んだ?
「自分たちにとって、ビルドアップの中心になる選手を2枚も一気に欠いたので、自分と(奥田)勇斗に懸かる期待も大きかったと思います。その中で、やれた部分もありましたけど、まだまだ足りない部分もたくさんあったのかなと。事前の準備という意味では、監督が目指しているサッカーはキャンプから全員が共有して、何回もミーティングを重ねてきたので、そこに対する不安や心配は全くなく試合に入りました」

Q:メンバーは変わっても、作りは良かったですし、失点までは相手のロングボールにもしっかり対応していました。
「入りに関しては、今年の試合の中でも良い入りだったと思います。ただ、最近は良い時間帯での失点が多いことは感じています。自分たちのミスから崩れてしまっている。その中でも、自分たちがボールを保持しながら戦うことは監督のスタイルですし、ミスから失点につながるシーンもあるとは思いますが、監督が求めることに信じてついていくだけ。練習から質を高めていけば、目指すサッカーは魅力的なサッカーだと思います。自分たちのミスから失点することがあっても続けていくべきだと思うし、その中でミスを減らして失点を防ぐことが課題です」

Q:1失点目を振り返ると?武藤選手に付いていった部分もあったのかなと思いますが。
「自分としては、武藤選手と3度目のマッチアップになりましたが、斜めにランニングするシーンが多く、それが得点に直結するプレーだと感じていました。自分たちはハイラインを敷いて戦う中で、裏のスペースが大きくなることは分かっていました。あの場面は、自分が足を止めていたら良かったかも知れなかったですが、(オフサイドを取る)タイミングが合わないと考えて、付いていく選択肢を取りました。オフサイドだと思って足が止まることも問題だと思いました。何かエラーが起きた時に全員でカバーすることも必要。一つのミスも全員でカバーしないと、クオリティが高い相手には、その1本がゴールにつながってしまう。最終ライン4枚、(GKの)ジンさん(キム ジンヒョン)を含め、もう少し危機感を持って、最後の笛がなるまでやらないといけない。基本ではありますが、改めて気付かされた部分もあります。負けただけで終わってはいけない。まだまだ試合はあるので、これをどう生かすかが次につながっていくと思います」

Q:ハイラインで攻撃的なサッカーを志す中で、背後が空くリスクもありますが、DFラインの一人一人がより成長するチャンスでもあると思います。現在の方向性を突き詰めていきながら、より一人一人のレベルを上げていけば、このサッカーも完成に近づいていくと思うが?
「そうですね。プレミアリーグの試合でも、ハイラインを敷くチームは多いですし、今年のセレッソもそういう戦いをする中で、自分の守備力も上がったことは実感しています。チャレンジすることに対してミスも起こってしまいますが、その1本を自分が止められるか。後半にもそういうシーンはありましたが、体を張って守備をする、絶対にボールに食らい付いて諦めないとか、そういう部分は全員がもう少し突き詰めてやっていかないといけない。そういう部分では、ヴィッセルさんに負けている部分がありました。一つ一つのボールに対するアプローチや、こぼれ球に対する執着心は、パスをつなぐサッカーを追求する中でも外してはいけない。戦う気持ちも大事ですし、自分が伝染させていくぐらいの気持ちで頑張りたいです」

Q:次節のFC町田ゼルビアも、そうしたセカンドボールの戦いが勝敗を分ける可能性もあります。早速、今日の課題を生かせるチャンスでもあるが?
「同じようなスタイルで戦ってくると思います。勝てない試合が続く中で、課題にばかり目を向けても成長していかないですが、だからと言って、悪い部分から目を背けたら、曖昧になってしまう。課題にもしっかり向き合いながら、いいところを伸ばしていきたい。全てのレベルが一段階上がれば、サポーターの皆さんにとっても面白くて、強いセレッソを作っていけると思います。ただ、それに時間が掛かってしまえば、シーズンも終わってしまう。練習から一つ一つのプレーをもっと突き詰めて、ポジティブに目の前の試合に挑みたい。そうすれば、課題も一つ一つクリアになっていくと思うので、課題はみんなで話し合って、ここからの戦いに臨んでいきたいです」

Q:失点が続くのは一人一人の意識の問題か、チームで共有しないといけない問題か。
「一人一人の意識の問題でもあると思うし、気付いた人が言えば良いと思う。今年になって、そういう気持ちは凄く芽生えています。長年育ててもらったセレッソで、30周年という節目の年に、良い結果を残したい気持ちが強い。その意味では、自分ももっと引っ張る気持ちで戦いたいです」